男の子って優しくされるとすぐに好きになる。

      女の子だってそうだよね。



  『ジェントル』



桜舞い散る春。

胸躍らせ入学する生徒たち。

ここ、立海大付属中は今日入学式が行われた。



「わふぁ〜〜〜明日から、新しいことがいっーーぱい始まるのかぁ〜」

そして、胸躍らせて不安と希望でいっぱいの少女が一人。



「はぁ〜…、にしてもすっごい広いなぁ〜!!」

見渡す限りの校舎!校舎!校舎!庭!

「マンモス高と歌われる氷帝の次くらい?」

そんな事を考えつつ…出口を捜し歩くこと約一時間。

「確実に迷った。」


はアホだった…。

「くそっ!これじゃあ。午後からのワイドショウ見れないじゃん!」

すると…向こうの方でたくさんの人だかりがあるのを見つけ
近づいてみる。


「テニス…コート?」

ここもやはり馬鹿でかいのであった。

「でも、何でテニスコートに人だかりが?」

その人だかりに近づくと
部室だと思われる部屋から何人かの生徒が出で来る。
皆、オレンジのユニフォームを着ていた。

「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!!」

「素敵!!!仁王くーーーーーん!」

「優しく微笑んでぇぇぇ!!!幸村君!!」

「かわいい!!可愛い過ぎる〜〜〜〜丸井君」

「あっ…ジャッカル君は別に…」

彼らの登場とともに凄まじくもけたたましい黄色い声が彼女の聴覚を襲う。

「な…っ…なにこれ?(つーか一人可愛そうな掛け声が。)」

それと同時には後ろに飛ばされる。
そして誰一人、気付かない。


しかし――――




「大丈夫ですか?」



と、後ろから優しい声をかけられる。



「あっ…はい!ありがとうございます。」


そう言って見上げた先にはメガネをかけた好青年がいた。

「ぁ…菩薩。…南無南無…」

思わずは拝む。

「えっ?ちょっと君…頭をうったのですか?」

「ぇええ!何気に酷い。違いますょ、あまりに神々しかったから。つい…」

大丈夫です!と言って立ち上がった主人公だが
やはり頭を打ったのか、たった瞬間立ちくらみに襲われた。


「……っあれ…きゃっ」


こける寸前。
は、彼の手によって受け止められた。
しかし、は意識を失った


「やはり……重症のようですね。保健室へ」

そう言ってその男はを抱きあげた。

そう………いわゆるお姫様抱っこ。














が目を覚ましたのは空が暁に染まった頃だった。

「アレ…?ここは…。」

気付くとは保健室にいた。
そして隣には…

「ぁ…助けてくれた人…。名前知らないや。」

恩人がすやすやと少しベットにもたれ眠っていた。

「あの…ありがとうございます。」

そお言っては、彼に毛布をかけた。

「今度は私が起きるまでまとう。」



数分後、恩人が目を覚ます。

「…ぁっ…気が付いたんですね。」

「あっ!はい!ありがとうございます。…えっと…。」

「柳生比呂志です。比呂志でかまいませんよ。」

「ぁ…ありがとうございました。比呂志先輩!
 私、と申します。」

さん…言い名前です。それで、傷は大丈夫ですか?」

「はぃ!すっかり。比呂志先輩のおかげです!…えっと…何かお礼をしたいのですが。」

は質問を投げかけるような目で柳生を見る。

「では……私とお付き合いすると言うのはどうでしょ?」

「えっ!?」

突然の柳生の言葉。

だれだって、驚く。

けど―――


「……喜んで!」


彼女は違う。

きっと、二人は、会ったそのときから

何となくだけど、惹かれていたんだと思う。



そして二人の影はそっと重なる。