忍び音 第四章「もし未来があるなら」




「まさか……そなんな。」


息を荒立てて村に着いたは真っ先に自分の部屋へと飛び込む。


「ありえない…よね。…間違い……だょね…。」


もし、あの人でなかったとしても

表舞台の平民と影役者の忍び――――


もし、あの人だったとしても

敵同士の相対する忍び―――――


「やっぱり……無理だょぉ………。」




あまりにも悲しき現実にはただ悩むのみ。

部屋に飛び込んだ時には輝いていた光は失せ

の心のごとく闇が漂っていた。



、入るぞ。」


真っ暗なその部屋に入って来たのは婆様だった。


「おぬし今日、紫苑葉隠れに忍び込んだそうじゃな。」

「………はい。」

「して、どうじゃった。」

「以上はありません。ただ見つかりましたがうまく撒きました。」

「ほぉ。ただ…それだけか?」

「えっ?」


いきなり、婆様にすべて見透かされたような質問をされ驚いた。

「お前の母が心配しておった。何かあったのであろう。」

は押し黙って全てを話すべきか悩んだ。

しかし忍びの情報網は侮れなかった。

「お前に、暗殺は無理かのぅ。」

「婆様?!」

「何も心配はいらぬ。恩人なのだろ?」

「……はい。」

まさか、私があの人を好きになったのが
バレてしまったのかと思ったがそうではないようだ。

「しかしな、。お前は時期上に立たねばならぬ。
 きついようだが、心を鬼にせねばならぬだ。」

「………心得ております。」

「そおか…。なら話は終わりじゃ。ゆっくり休め」

「はい。おやすみなさい。婆様。」

「あぁお休み。。」




けれどの心は休まることはなく


  ただ、時だけが残酷に流れるのだった――――――。