初めてだった…


      違う視線で俺を見るやつは




****『真実(前編)』****



出会いはバイト先だった。


「新しく入った高野恭平君、君が面倒見てあげて」


そう言われて高野君と言う男の子を連れてきた店長に返事をする。


「はい。わかりました。」


紹介された彼は足が長くすらっとした体系…そして綺麗な瞳に綺麗な髪

だれがどう見ようと美男子だった。


です。よろしく」

自己紹介はしたもののすぐにスタスタと歩き始めてしまった私。

そう…私はこの手の美男子が苦手。

自分自身に自信がないから…ちゃんと彼に向き合えない。

こんな人を好きになるのでさえ恐れ多いことだと思っていた。


「あの?先輩…どこ行くんすか?」


そう言ってついて来る彼を振り返り


「まずは、品だし作業を教えるから」

とだけ言う。

きっと無愛想だと思われたでしょう…そう思いながらも足は進んだ。


「じゃあ…高野君。これを運んで頂戴。後これとこれと。」


そこまで言っていきなり多すぎたかな?と思い


「ぁ…多いか^^;ごめんね。」


そう言った。

でも

「イヤ…大丈夫っす」

と言ってすべての荷物を一気に運んでくれた。


「目つき悪いのに…いいやつだ。」


などと、つぶやいてみたら


「悪かったっすね目つき悪くて。」

と、いつの間にか荷物を運び終えて帰ってきた高野君の返答が帰ってきた。


「ぃや…ごめん。冗談だって」


そう言って申し訳なさそうに言うと



「気にしてない」

とだけ返ってきた。








その日はそれから話すこともなく無事、バイトが終了した。



次の日



「おはようございます」


「おはよう。じゃあ…今日はレジやってみる?」


「はい」


そう言ってレジ作業を教えた。


一時間くらいで一通りのことは覚えたみたいで

「ちょっと休憩入れようか?」

「まじっすか!!」

休憩を促すと、うれしそうな声が返ってきた。


あまりにもそれが可愛かったから…つい笑ってしまった。




「はい。どうぞ」



休憩室に入って席に着いた高野君に私はジュースを手渡す。


「ぁ…どうもっす。でも、俺金が…」


心配そうな高野君。


「大丈夫。おごりだから」

そう言うと彼はうれしそうに缶を開けた。


まただ…


時々見せる彼の無邪気な姿に胸が高鳴る。


こんな綺麗な人好きになっても…悲しいだけなのに。





でも、心は嘘がつけないみたいで…私はどんどん彼に引かれていった。