***『生』***
私たちの世界は戦争をしている。
そして…私はその世界に喧嘩を売っているようなもの…
だから…死ぬことは怖くない。
ただ
死ぬのなら
せめて君の
「…ラッセ…っ」
合同演習と偽った大規模なガンダム鹵獲作戦の最中
不意に思ったこと
13時間が経過した今でもまだやまない
戦火の中、ガンダムマイスターの私は限界が来ていた。
限界に近づき、体にガタがくるのを感じるにつれ
愛しい人の顔が浮かんでは消える。
「…必ず…生きて帰って来いよ?待ってるから」
別れ際に交わした言葉
「大丈夫、死ぬときはあなたの腕のなかがいいもの…ラッセ」
「…愛してる。」
「ぅん。」
その続きは言わなかった
だから、帰って…伝えないと…どんな状態でも帰らないと
そうこう
しているうちに
ロックオン…
アレルヤ…
私と行動を共にしていた彼らが鹵獲に追い込まれる。
「ロックオン!!!」
近くにいたフラッグに攻撃をするも
体力の限界かうまく動けない
「…ぅ…ぅぁぁぁぁっ!!」
ロックオンの敵と目の前にいる敵に気を取られ
いつもなら気づける背後の敵に攻撃を受けた
其れからの記憶は
無い。
気づけば心地のよい暖かさがして
「んっ…暖かい…?」
目が覚めればたくましい彼の腕の中にいた。
「ラッセ?…ここもしかして天国?」
「馬鹿やろう!心配させやがって」
どうやら天国ではないらしい。
強く抱きしめられた彼の腕の痛みが体を走る。
「ごめんね…ラッセ。」
「もういい、其れより今は」
そう言ってラッセは真っ直ぐに私を見つめる。
そして
ちゅっ
「生きててよかった、お帰り」
「ぅん、ただいま。愛してるわ、ラッセ」
END
キスをして
生きてることを確かめ合った。