愛って何だろう……。


      初めてふれた人間はとても心地のよいものだった。



  SCRATCH NO・W 「Warmth」


*注意* 主人公視点です。


目を覚ますと。そこは初めて見る光景と、久しぶりに感じる人の存在があった。



「目ぇ覚めた?」


「…ぅがっ!」


行き成り話しかけられて、私はびっくりしてしまった。

なんだ、その人。余り…記憶が無い。

よく見ると体も綺麗にされて、着慣れない布を身にまとっている。


「びっくりせんとって!何もせーへん!」


手を動かしたりしながら、私に害がないと教えてくれているようだった人は

そっと近づいてきて私の横に座る。


「自分、名前とか分かる?てか、話せるん?」


近づいてきた人は何かを私に問いかけた。

何も分からないししゃべれないはずなのに。その人の言葉はどこか懐かしく聞き覚えがあった。


「あかん…ほーっっとして…わかってへんみたいや。」


「ほーか。でも、見た目や感じからして日本人やな。」


「せやな…そんな感じしたわ。」


「しかも、乳児期を終えて、幼児期に入ってからまぁ…3歳頃ってところやな、森で暮らし始めたんわ。」


習慣を覚えたりするのに、赤ちゃんでは無理だ。すぐに死んでしまう。


「にしても、ひどいなぁ…なんで森でなんか。」

「分からへん。せやけど、多分。貧しい家庭が子供を育てられなくなって森に捨てたんだろう。」



私の前で話して居る二人はどこか何かを思い出させる感じだ。

日本人……そお言われた。この二も人日本人だからなのだろうか。

同じ、生まれ…だから?


「………っ…ぅがっ…………」

ふと、誰かが「」と呼ぶ声がして、そのままそれを口にする。

遠い記憶のかなたで、温かい手の中に眠っている自分を一人の人間女がそぅ呼ぶ。



「なっ!なんや!「!?」自分名前覚えてたんか?」


せの小さいほうの人間がそお言って勢いよく立ち上がる。


…か。確かに日本人の名前やな」

もう一人の方が何か紙にむかっている。

「年齢は…10歳前後・性別女・日本人で、過去の記憶は残っているようだ。
 三つ子の魂百までってかんじやな。」


野生生活では余り新しい記憶が入ってこないから。


過去のこともうっすらだけど覚えていた。




「兄貴…せやったら、言葉とか話せるようになるん?」


「せやな。多分。」






そお言って兄と呼ばれたほうが立ち上がりもう一人に話しかける。


「と。言うことだ。蔵ノ助、俺はちょっと村の人と相談してくるわ。その子よろしゅう。」


「えっ!何?どおしたらええん?俺!?」

「まぁ〜せやね…お話とか^^;」


兄のほうは笑って部屋を後にしていった。












一人が出て行ってから数分。

意味の分からないことがたくさんおき。

初めてのことばかりが私を刺激する。そして、知らない記憶が頭の中を渦巻く。



「なぁ?昔のこと覚えてるんやったら、話できひん?」


「・・・・。」


何となくも言葉は理解できない。

ただ、少しの単語が分かるだけ。


「な・・・なばえ。なぃ?」


「えっ?」


私の精一杯の問いかけに彼は半分驚き、半分嬉しそうに目を開く。


「名前?ってこと?俺の?」

そお言って自分を指で指す。

「………(コクンっ」

首を動かす私を見て、上げる隙も無く答えが返ってくる。


「俺は!蔵ノ助!!よろしゅう。。」


行き成りで混乱した私は。おぼえきることができず。


「…よろ…しゅ…ぅ…?蔵……?。」


ここまでが精一杯。だった。

でも、嬉しかったのか、蔵はニタニタと私の頭を撫でた。


それが微妙に心地よくて、でも、どこか懐かしくて

今までの生活ではないことだったから…少し戸惑っていた。


「これから、少しずつ覚えればええ!」


そうやって笑った彼が温かかった。






思い出す記憶は深く深くにねむってて


  それでも、どこかで目覚めていく、ほどけて行くような気がした。







彼の手は暖かくて。

  彼の笑顔は懐かしかった。






愛を知らない。
          でも          
                 知っている。




   だからもっと、私に愛を下さい。