―――――覚えてますか?
海岸沿いでずっとそばにいてくれると
――――――――すごくすごく幸せだった。
******「ぬくもり」******
六角中の近くの海の砂浜に、私はよく通ってきた。
六角中の生徒ではないけれど、すごくこの海が大好きで。
だだ、辛い時は海を眺めた。
「何…泣いてんのか?」
「ちっ…ちがうもん。」
いつもいっつも辛い時君はそばにいてくれた。
それだけでも十分なのに。
ずっとそばにいてくれるって君は言った。
「じゃあ…こっち見ろよ」
行き成り肩を持たれ振り向かされる。少し強引だけど優しい手。
「やっぱり…泣いてんじゃん」
そう言ってそっと抱きしめる。
「ヒカル君は優しいね。」
「…優しくなんか…ない。」
今日、私の両親は離婚した。
分かってはいた。もう、戻らないって。
だけど、辛くって。もっと一緒にいたくって。
何もできない自分自身が情けなかった。
「大丈夫。が一人になっても、俺がずっと一緒にいるから。」
「ヒカル君…ありがとう」
ヒカル君の大きな手で温められるとなぜか自然と素直に甘えられる。
きっと、私は彼が好き。
でも、彼はきっと…情けをかけているだけどろう。
それでも今はすがっていたい。
この優しさに。
しばらくしてヒカル君の胸から離れる。
そっと離された手を名残惜しく解く。
「もう。大丈夫だょ……ありがとう」
ちゃんと笑えているのかな?
笑顔って難しい。
「本当か?…顔笑ってない。」
どきっとする。
やっぱり彼は何でもわかってしまうんだ。
「なんで…わかちゃうかな……ヒカル君は」
そういいながら顔を上げる。
刹那……
チュっ
温かいものが唇を覆う。
解いたはずの彼の手がまた、私を包む。
すごくすごく長いKISS。
このまま死んでもいいとおもった。
「…っふぁ」
やっと離された唇から吐息が漏れる。
「ごめん。でも俺…本気だから。」
「えっ?」
真剣な彼の表情に吸い込まれそうだった。
「お前が好きだ。すっげぇー好きだ。」
その時私は生きる意味を見つけた気がした。
「私もヒカル君が大好き。」
また。二人はキスをする。
私は、きっとこれからも彼のそばにいるだろう。
彼が私のそばで笑っていてくれるように。