お前を守りたい。


   極限に。


     なのに…なぜ、泣くんだ?





******「ノン涙」******



「お兄ちゃん!!そうして銭湯の煙突なんて登ったりしたの!!」



いきなり入ってくるなり


半分泣きそうな顔をした京子がベットのそばまで駆け寄ってくる。


一瞬びっくりして言葉に詰まった俺だったが


すぐに、しっかりと京子にむかってうその言葉を返す。






軽い捻挫だと。







「捻挫で入院なんてするの?」


「ぁぁ…ひどい捻挫なんだ。」



そう告げると良かった・・・と安心しつつ涙を流す京子。



「泣くな(汗…京子。」




俺は…お前と…に泣かれるのが一番・・・辛い。






何とか作った笑顔で京子をなだめる。





落ち着いたのか、京子は荷物を持ってくると一度家へと帰宅した。



沢田も、見舞いに来てくれてたのだが、用がある様子で少ししたら

どこかへ行ってしまった。







静かになった病室


少しして



俺はそっとドアのほうに向かって言葉をかける。




…見舞いに来てくれたんだろ?入らないのか」



その声に、ビクっと体を強張らせた人影は

すこし掠れた声で答えた。


「だって……了平…私が泣いてると…嫌でしょ?」



泣いている。


そう感じ取れるくらいの小さな声で告げる

確かに俺はに言った。


俺の前で泣かれるのは困る・・・・と





でもそれは


大切だから…好きな人だから…


俺の前では笑っていてほしかった。




「見舞いに来て顔も見せないで変えられるほうが嫌だ。」



はっきり告げる俺に



少しの沈黙…



それから


そっと開いたドアから


小さく可愛らしい少女が顔を出した。



…来てくれてありがとう。」



そう言って差し伸べた手をとる

の小さな手。




「すごく…心配したんだから。」




「悪かった。」







手をとったをそっと抱き寄せる。


折れたところがズキッっと痛んだが今はそれよりも


への意識のほうが強いようで…痛みはすぐにかき消された。





「顔を上げてくれ。」



「嫌」


同い年だというのに…あどけなさを残す


「どうしてだ?」


「だって…」


その続きは聞かなくても分かる。


俺の手の甲に…そっと暖かい雫が落ちてきたから。





「ごめんなさい。泣かないって言ったのに。」




「……。」



「嫌にならないで?了平。」


「なッ?//」



何を心配するのだろう…俺の服をぎゅっと握り締め

はそう訴えた。


「嫌いになって…嫌になって絶対ならない。」


「…りょ…へい?」


「俺がに泣くなと言ったのは、俺がお前を守るから。

 泣かないように…ずっと笑っていられる様に守りたいから。

 だから…。」


「…///」


握り締める手を少し強くしは顔を上げる。


「それに…俺は…お前がいないと極限に駄目な男なんだ。」



そう言って


触れるだけのキスを交わすとの顔はみるみる朱に染まる


「好きだ!極限にな…」



















夕焼け空のように


赤い顔のが可愛くて…



もう一度…キスをする。