忍び音 第弐章「心の中の夕立」
日が傾き、空が紅に染まる頃。
私は雅治様と別れ再び忍びの村へと帰っていった。
「ありがとうございました。」
「なに、いいってことょ。俺も、お前さんと居て楽しかった。」
「じゃぁ、またな。」
「………はぃ。また。」
また…か…。
また逢えるかな。
忍びの村に帰ってすぐ私は村の長であり実のお婆様である
頭首様に呼び出された。
「何だろう?今日はハッピーディズwwだってのに。」
「くだくだいてないで早く言ってきなさい、。」
「はぁ〜ぃ!」
母に促され足早に頭首ならぬ婆様の所へ行った。
「お呼びですか婆様…?」
「来たか……実はお前に話があってな」
「お話ですか?」
部屋に入ると早速と言って婆様はなにやら大事な話を始めた。
「あぁ…まずこれは他の者には言ってはならん」
「心得ました。」
「お前には、昔から他の者の数倍の修行をしたな。
それを使う時がきたようじゃ。」
「どう言う事ですか婆様?」
「うむ………」
そう言って少し黙り込んで考えた後婆様は口を開いた。
「…お前に暗殺を頼みたい。」
「………………………ぇえ!」
おもいっきりテレビ!
びっくりした。まさか始めての任務が暗殺だなんて。
まぁ、この忍びの世界では珍しくはないが…。
「驚いたであろう、しかしお前でないと。」
「なぜですか?」
暗殺をすることに多少抵抗はあるものの、国のため、村のため
何より、自分たちの未来のためだ、それが初任務なら喜んで受ける。
しかし理由は気になる。
「お前でないと、差し止めることができぬであろう相手だからだ。」
そう言って差し出された一枚の紙には
『 甲賀 紫苑葉隠れ
―――――雅治。』
とだけ。
相手も忍びか――――
雅治………そお聞いただけではまだの頭には
昼間あった男の顔輪浮かばなかった。何故なら
忍びとはかけ離れていて欲しいと願う気持ちが遮っていたから。
「分かりました。必ずやこの手で」
そぉ言って紙を燃やしその場を去る。
は家には帰らず、何時も修行をしている滝に向かった。
「はぁ〜……きっと、忍びだと知ったらあの人は私を拒むだろう。
まして、人を殺めることを――――。」
心の蟠りとは裏腹に物語のページは次から次へと進んでいく…。
あの人を思いながら見つめる川辺に、の姿は美しく移る