忍び音 第七章「偽りの愛刻みて」
が敵地に忍び込んで早一週間。
雅治との生活にも慣れ、互いがいるのが当たり前になっていた
「雅治様!!起きて下さい!朝です。」
「………ZZzz」
「今日は大事な村の会議でしょ?」
・・・・・・・・・・。
「……はっ!!そうじゃった!」
「きゃぅっ!」
行き成り起きる雅治に驚き変な悲鳴を上げる。
「おっと、すまんのう。驚かせて。」
「いぇ。起きてくださったのなら。それより、朝食できてますよ?」
「おぉ、本当か?」
「はい!」
「にしても、なんかこうしてると新婚みたいじゃなか?」
「…………ぅもっ!馬鹿言ってないで早く顔洗ってきてくださいね。」
本当は喜びたいだが、やはり素直に喜べない。
楽しく笑うと心が痛む。
「じゃぁ、俺はちょっと行ってくるけん、留守番よろしくな」
「はい^−^いってらっしゃい。」
朝も終わり雅治は会議に出る。
きっと、村の会議は忍びの会議だろう。
偵察にとも思ったが、今は雅治様を暗殺することのみをと思いとどまる。
きっと、帰ってくるのは昼を過ぎるだろうと思う。
しかし、の予想は大きく外れ、一時間後
「ただいま帰った」
「ぇえ!」
「ははっ、驚きなさんな」
「早かったんですね」
「のために早く切り上げたんじゃ」
また、さらっと言う。
「じゃあ、お昼にしましょう」
そしてさらっと流す。
「………(涙」
こんな毎日がもう一週間
一週間なんて言わずにずっと続いてくれれば良いのにそお思った。
そんなことを考えていた昼下がり
「それでね、弦さんとこの赤ちゃんと遊んでたのっ!」
たわいもない話で盛り上がり笑いあう。
正直、作り笑顔のようになりつつある自分。
この人の前では本気で笑いたいのに……何時もそお思っていた
けど、その自分のことで精一杯で気づかなかった。
「そおか、お前さんはおっちょこちょいじゃけん、
赤ん坊に怪我させてないか?」
「させてないです!大丈夫です…ょ…多分…」
「多分か……ははっ(笑」
あれ?今、雅治様笑ってるよね?
なのになんで少し悲しそうなの?
気づいてしまった、雅治様の心の闇に。
私はなんだか気になった。でも、聞く勇気もなかった。
いや、聞く…権利もないのかもしれない。一週間も気づけなかったなんて。
少し戸惑った。
しかし―――
意を決して、その晩は雅治に尋ねるのであった。
「雅治様はどうして、悲しそうなのですか?」