自分はほんまに見てておもしろいわ。
****「名前も知らないけど」****
たまに、部活の帰りによる喫茶店でいつものを頼み席に着く。
そこで、侑士はおもしろい人を発見する。
「(あっ…転んだ。)」
喫茶店から見えるまん前のお店で働く少女は
雑巾が入ったバケツを持って店の外の洗濯機まで走ってくる。
しかし、見事にずっこける。
「(ぁ。俺、見てたで、しっかり。)」
どうやら、彼女の周りには人はおらず、その少女はきょろきょろと周りを確認する。
誰も見てないことにほっとしたのかまた、軽い足取りで洗濯機に向かう。
「(今度は、何すんねんやろ?)」
少しの期待を抱き少女を見続けた侑士
少女は洗濯が終わり、倉庫から荷物を運ぶように言われた様子だった。
―――――――ガッシャン
「(うわぁ〜また派手にやったなぁ〜(汗))」
ガラス越しに音が聞こえてきそうなほどの音。
それとともに少女が荷物の中から姿を見せ、またキョロキョロ。
「(誰も見てない思てるんやろうなぁ〜)」
しかし、ここに最初っから全て見ていた人がいる。
「(ほんま見てて飽きん。)」
そんな日が繰り返された。
少女はいつも何かやらかす。
侑士はいつもそれをほほえましく見る。
そしていつの間にか、侑士の心の中に大切な存在になっていた。
侑士は気づいてはいなかったが、毎日喫茶店に通っているのが何よりの証拠である。
そんなある日。
「(ぉ!今日もやってる。)」
今度は、思いっきりスライディング!
「(野球できるで、才能あるんちゃうん?(笑))」
しかし、次の瞬間。
よろついた少女は、あまり柄の良くない不良にぶつかってしまう。
「あっ…」
侑士は思わず声を上げる。
「きゃっ!・・・・ぁっ・・すいません。」
「ぁあ!?んだぁ?てめぇ!何処見て歩いてんだよ!」
「・・・ごっ・・ごめんなさい。よそ見してて。」
「はぁ〜?いい度胸じゃねーか!」
そお言って少女をにらみつける。
そしていちゃもんをつける。
「なんだ?店長呼んで来い!お前、首にするぞ。」
「それだけは…ここがやっと見つけたいい仕事場何です!」
「知るかょ!服が汚れたじゃねーか!」
不良は転んだ時に水溜りに足を突っ込みズボンのすそが汚れていた。
不良が少女の腕をつかみかけた時。
「ええ加減にしーや?その子謝ってるやん?」
何時来たのか侑士の姿がそこにあった。
「だいたい、そんなブランドでもない征服も、クリーニングに出せばすぐやろ?」
「うっせぇ!なら、そこの女!クリーニング代出せよ!」
「分かってないな、自分。「征服も」って言ったやん?聞いてなかったん?」
「はぁ?」
「お前の心もクリーニングせい!つーことや!」
侑士は不良をはたき飛ばす。
「この子がわざわざ。お前の心のクリーニング代なんか出すか!服のほうが居るなら俺がくれてやるわ!」
「・・・・・くっ!覚えとけよ!!」
そぅ言って、不良は早足で逃げていった。
「今時…その捨て台詞かよっ!(古っ!)」
思わず突っ込む。
「あっ…あの。ありがと…ぅ…ご「自分、俺と付き合ってくれへん?」
深々と頭を下げるのはなのに、いきなり侑士に頭を下げられる。
「え?」
「実は、今日助けたん偶然やないんや!実はずっとあの喫茶店から見てたんや。」
そぅ言って顔を上げる侑士。
「あの…っ…です。私もいつも…見てました。」
「なんゃって?」
「あそこの喫茶店でしょ?私もお昼はあそこにランチ食べに行くんです。」
「…じゃぁ」
「よろこんでお付き合いします!」
「おおきに!俺は忍足侑士。よろしゅう。ちゃん。」
二人はきっと、素敵なカップルになるだろう。
***おまけ***
侑士「ところで、バイトしてるってことは自分高校生?」
「違うよ?大学生だょ^−^」
侑士「えっ!・・・・。同じくらいか・・下だと思ってた。」
「ひ・・・酷い。年上は嫌い?」
侑士「関係ない。俺はそんなこと気にしーへんよ^^俺が好きなんはだけや。」