運命のいたずらは

   もうそこまでキテイタ……


 出会うべくしてであった二人


     少女は更に出会う。


           愛をくれるアナタト。




  SCRATCH NO・Ⅵ 「request」





蔵ノ介が学校に行った後、名無しは一人窓越しの太陽が昇るのをずっと見ていた。


「蔵…まだ帰ってこない。」



出かける前に、洗物と洗濯を頼み出かけたのだが、今は少し気分が乗らず不機嫌な名無しだった。



(キュルルゥゥゥゥ;;)




「……お腹…空いたなぁ~。」



小さな可愛らしい音と共によだれが出そうになる。


そっと立ち上がった名無しは、食欲を満たすためにリビングに向かった。




「あれ?」



そこで、少し地味なハンカチに包まれた箱を見つけた名無しは興味を持ってにおいをかぐ。





「…クン…クンクン……。美味しそうな匂い。」


そう言ってふたを開けようとした時、ふといつもの朝の光景を思い出す。





「コレ…いつも蔵が持って行ってる。これないと蔵死んじゃうって…」







そこまで言って思いっきり立ち上がってそれをつかんだ名無しはそのまま外に飛び出していった。










「早くしないと!!蔵…死んじゃうぅぅぅ!(汗」










道が分からない名無しは匂いを頼りに走った。




駅までは雨などで傘を届けに行ったことがあり大体の場所は把握していた。






駅に着いた名無しは蔵ノ介に昔
「駅員さん!電車のことで分からんかったら何でも聞いたらええよ」
と教えられていた事を思い出し、駅員さんに詰め寄る。



「駅いん…さん?あのっ…四天宝寺中学校に行きたいの。どこ?」


ぎこちなく聞く名無しに振り返った駅員さんの顔が赤く染まる。


それもそのはず、名無しは急いで来たので、ほとんど寝巻きのまま。

名無しの寝巻きはパジャマとかそんなきちんとしたものではない。

動きにくい、と言う理由で、キャミソールに短パンだ。

もともと、ブラジャーなんてものは身に着けたことが無いので見に着けていない。


「駅・・・ぃん…さん?」


「ぁあっ;;!すまん…。えっと…ここの階段上がって、三番ホームのもうすぐ来る電車に乗って行けば、いけるよ。」


と、少し、胸元を気にしながら説明する駅員。


蔵ノ介が出会った当時はまだ、幼かったため余り目立たなかった胸も

今は人並み以上になっていた。C…いやD!!なんて…



「うーん…わかった。頑張ってみる!ありがとぅ…駅員さん!」



そう言って微笑む彼女にノックアウトされる駅員さんであった。












「あっ!!あの子…切符買ってない!!てかあんな格好で電車乗ったら痴漢に!!!」














と、そんな駅員さんの心配もよそに

名無しは嬉しそうに電車に乗るのであった。






「駅員さんはぃぃ奴……蔵の次の次かな…^-^」