季節は穏やかに終わりを告げたね
彩られた…記憶に乗せて
さよなら愛をくれたあの人は
この瞳に揺らめいていた。
+++『待ち人』+++
途切れない気持ちなんて初めから信じてなかった。
私は一人だけ移り行く町並みに取り残されたまま。
「縁……。」
愛しい人の名を呼んでも帰ってはこない。
もう彼は私のそばには居ないのだから。
一年前
「縁?どうしたの急に。」
「…俺はもう、お前と一緒には居れない。」
分かっていても気付かない振りして
溺れていたよいつでも君に
別のことを考えてる横顔でも素敵だったから。
「…どうして?嫌いになった?」
「違う。ただ、やらなきゃいけないことがある。」
そう言って縁は私の前から姿を消した。
そっといつも部屋で縁が座っていたところを見つめる。
「こんなにも縁のこと思ってるのに。」
でも、言葉は返ってこず、宙に浮くばかり
「買い物にでも…行こう。」
町を行きかう人々が遠くに感じられて
ザワメキさえ薄れては
「縁?!!!」
「じゃなかった…。人違いか…」
ため息に…消えてしまう。
空席に見つめられた
退屈な休日は
終ることなく貴方が流れる付けている。
また季節は巡る。
彩られた季節に乗せて…
貴方がここにやってきたときも
どこか消え入りそうで
捕まえておかなきゃ…いなくなりそうで…怖かった。
「あと…どれくらいだろう」
そばに居てくれるのは
そう思いながら時を刻んでいたよ
寄せては返してく
波のように
この心はさらわれて
「愛してる…。だから…お別れだ。」
そう言っていなくなった縁…
「愛してるなら…帰ってきてよ…馬鹿。」
今日も町は会いも変わらず思いめぐらせ
それぞれに描いて行く
さよなら愛をくれたあのひとは
遠い空に恋焦がれて
この瞳に…揺らめいていた。
「いつまでも…待ってるから。」
移り行く町並みに…ため息はこぼれた。