俺は、あの時何を感じた?
確かに出会って、ぬくもりを感じた。
愛を感じたはずなのに――――――――――
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あの後、帰ってきた兄貴は一緒に帰ろうとだけ言って
の手を取り日本に連れて帰った。
「ってな感じで、その後俺の兄貴が村の人と話し合った結果。
その子の両親が日本人ならということで、俺らに託したから
連れて帰って今に至るの。」
まだ、揺れる電車の中俺は、開く電車のドアの前で一氏にそう言った。
次はもう、降りる駅だ。
「へぇ〜知らんかったわ。そんな事があったなんて。」
「せやな…あんまり公にできひんかったからな今までは。」
「ん?どういうことや?」
「正式に俺らの家族になってん」
「そうなんか?家族がみつかったとか?」
「全然・・・むしろ手がかりも何にもない。」
「そっか・・・」
そお言って質問したことを申し訳なさそうに下を向く一氏を見て白石は答えた。
「気にすること無い。今は俺が家族やからな^^」
親が見つかるまでという事で、兄貴の娘として養子縁組をしてもらい
兄貴が引き取る感じで、俺とは正式に家族になった。
「せやな!」
笑う一氏は。初めて聞いたわ!と言いつつ、狼少女の話を真剣に聞いてくれた。
疑いもせず。我が事のように。
「なぁ?ほんなら、生活とか大変何やないん?」
「ん?言葉とかか?」
「せや。生活習慣もかなりちゃうんちゃう?」
二人は、いつもの駅で電車を降りて歩き始める。
部活のことをすっかり忘れ、いつもどうり学校への道を歩く。
「せやな…最初はマジで困ったわ^^;皿は舐めるわ、生肉に噛り付くわ、四速歩行するわ
暴れるわでもう、専門家の兄貴がおらんかったらどうなってたやら」
「ははっ…大変やってんな」
「まあな…せやけど、今じゃ、言葉も覚えるし、服も着る。一人で風呂も入るし、二足歩行もできる。
箸は使われへんけど、スプーンやホークは使うようになったわ」
そう言って、この二年間行ってきただろう苦労を頭に浮かべながら語る俺は
すごく懐かしい気持ちになった。
「風呂…一緒に入ってたん?白石・・・」
「なっ!ちゃうで!何もないで!」
必死に否定する俺を横目で見てオモシロそうに笑う一氏。
「嘘や!分かってるって(笑」
「なんやそれ!たばかったやろ!!?」
二人は笑い合い道を歩く。
「なんか、三年間一緒におってんけど、こんなに話したこと無かったな」
「せやな…お前、いっつも小春といちゃついとったからな」
「はは…まあな。せやけど、俺、女の子のほうが好きやで?」
そう言って笑った一氏。
俺もなんだか面白くって、のことを話せたのが嬉しくって。
それを馬鹿にせず、受け入れてくれたのが嬉しくって…
俺も笑った。
「あっ!!!!」
行き成りの一氏の声に何事かと思い一氏に向き直る。
「部活…朝錬……終ってもうたぁ!!!」
「あっ−―−ー!!!やっばい!オサムちゃんに怒られる!!」
大切なことに気付いた二人は一生懸命学校へと続く道を走っていった。
まさか、これから俺と一氏との
三人の中でめぐりめぐることなど
何も考えないまま――――――