どんなことがあっても、縁が切れない。


      温かくもあり、時に大切な存在。



        家族――――――。




  SCRATCH NO・XI 「case」




兄からの電話があった次の日


「ほな行って来るわ」


「ぅん。行ってらっしゃい蔵…。」


「あぁ」



学校に行く蔵ノ介を見送るだったが、

どこかいつもと様子の違う蔵ノ介を心配に思っていた。


「気を…つけて…」

そう言ったの言葉は、ドアが閉まる音にかき消された。









「今日の…蔵…元気なかった。どうしたんだろう」



と、思いつつも洗物や洗濯と家事をこなさなければいけない

急いで、キッチンへと向かった。
















少しずつ時間は過ぎて、太陽は傾き始めていた頃。













「よぅ!白石!」


「………。」



一氏が蔵ノ介を見つけ声をかける。


しかし、蔵ノ介は気付かず歩き続ける。




「おい!?白石?」


蔵ノ介の反応が遅いので肩をつかみ、こちらに向かせ、再び声をかける。


「……あぁ。一氏…どないしたん?」


「どないしたん?ってこっちのセリフや。
 さっきから…てか朝練の時からボーっとしてへん?」

「なんでもない…大丈夫や」


「ほうか、ならええけど、まぁまた放課後な」


「ぁあ、またな」


そう言って各々の自教室に戻ろうとしたとき 







ズリ・・・・・・


「わぁあ!!」




ガタガタバタッ――――ドン!








「なっ!!なんや?」




聞き覚えのある叫び声に、落ちるような音がして一氏は音のしたほうへ駆け寄る。


そこには、階段から足を滑らせて転がり落ちた蔵ノ介の姿があった。



「おい!!白石!!大丈夫か?!!!」




蔵ノ介に駆け寄り声をかけるも、返事はなく、打ち所が悪かったのか、意識が無い。





「早よう!誰か保険医呼べ!!!」




「白石?!!しっかりせい!!」




すぐに駆けつけた保険医と近くにいた先生に運ばれて蔵ノ介は病院へ行くことになった。


一氏は、授業に戻るように言われたが心配だったので付いて行くことにした。




「大丈夫であってくれ……白石。」



そう呟く一氏と蔵ノ介を乗せた救急車は病院へと走り出した。


































パリィーーーーン

「わぁあ!」


家で、洗物をしていたは、落としてもいないお皿がわれビックリしていた。


「なんで?割れた?何もしてない…のに。」





そっとそのお皿を片付けようとし時、指から血が出ているのに気付きそれを見つめる。



「血――――……?蔵っ?!!」



何を思ったか、野生の勘が働き、もしかしたらと、はすぐさま家を飛び出した。



「蔵になにかあったのかも!!嫌だよ…蔵…」






















数分後――――



やっとの思いで学校にたどり着いたは真っ先に皆がいるであろう部室に向かった。




そして、勢いよくドアを開け、彼の名を叫んだ。


「蔵?!蔵いますかっ?!」


少し、させって来たものだから、息が上がって言葉がうまく出ない。


!!!?」


行き成りのの登場に一同がビックリしたのもつかの間


!!ちょうどぇえところに!」



「今、に電話しよう思っててん!」


と、言われ、の不安はさらに募る。


「何?…蔵に何か…あったの?」


そう、心配そうに聞くに、全員が顔を下げる。



そして、謙也が話し始めた。


「実は……白石が階段から落ちて意識無うなってしもてん」


「嘘っ…!」


「今、どない状況かは分かれへんけど、一氏が一緒に病院行ってる…」




「一氏からの連絡待ち…って!!どこ行くねん!!!!」


しかし、話が終らないうちに、は行き成り部室を飛び出して言った。


きっと


向かうはただひとつ。










「蔵…大丈夫でいて…」











蔵ノ介のいる病院。