*『私の彼氏を紹介します』*
最近、姉さんの様子がおかしい。
いつもはバイトの無い日だったら俺を迎えに来てくれる
そして、夕飯の買出しを一緒にしてから家に帰るのに…
ここ最近、それが無い。
何故だ!
俺…が…何かしたのか?
いや…それは皆無に等しい。←「自信過剰(ヲイ!!」
気になった俺は学校が早く終わる今日それを確かめに大学に向かった。
歩くこと10分。
高等学校から姉さんの通う大学までは相当区内距離で…
何事も無い様子で大学の門をくぐった。
その時だった、
「ぁ…姉さん!」
朝、学校まで送ってくれた時と同じ格好をした姉を発見して俺は声を張った。
しかし
―――は?!!!
次の瞬間、見慣れないちょっぴりかっこいいスポーツカーが姉さんの前に止まり
あろうことか、それに乗り込む…運転席の人物に微笑みかけながら。
「嘘だろ…」
姉貴に恋人?
と言う感情より…彼女の浮気現場を見た様な…母親を再婚相手に持って行かれた様な…
なんともいえない感覚に戸惑ってしまった俺は、そこから動けなくなっていた。
しかし、次の瞬間、その車が俺が立ち止まっていた前を通る。
そして…覗いた運転席
そこには…
「なっ!!…ニール・ディランディ…!!!!」
おいつが乗っていたのだ。
一ヶ月前―――
「ねぇ?刹那…あんた髪伸びてない?」
刹那「気のせいだ。」
「うわ!どんだけ…。そのうち秋葉原の住人みたいになっちゃうよ」
刹那「……嫌だ。」
「じゃあ…切りな。いい所紹介してあげる!」
そう言って姉さんが雑誌を広げる。
刹那「…断る。ほっておいてくれ。」
無愛想にそう言ったが
「私も髪伸びたんだよね…いい所なら私にも教えて?」
姉さんの言葉に気持ちは変わった。
「刹那、一緒に行かない?一人じゃなんだか…」
刹那「行く。」
「ムキィィィィィ!!なんじゃそりゃぁぁ”刹那締める!!いつかのしてやる。」
「まぁまぁ…」
姉さんが姉さんを宥めると、気を取り直した姉さんが再び雑誌を指す。
「ここ!ナイスガイ”でしょw沢山のモデルや女優さんを手がけてるカリスマ美容師w」
そこに載っていたのがニール・ディランディだった。
刹那「凄いのか?」
「凄いわよ!!人の話聞いてた?(キレ」
「まぁまぁ…じゃあ、明後日あたり行って見る…ありがとう」
その後、何とか予約を取り付け美容院に行った俺たちは
ご氏名通り彼にスタイリングをしてもらったのだ。
「しかし…何故だ。何故あいつが…ここに居る?」
分からないと言った様子で立ち尽くしていた俺だったが
携帯の着信音でわれに帰る。
〜〜〜ちゃーんちゃーん♪
From:
Sub:Re
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今から迎えに行きます。
正門で待ってて^−^
−−−−END−−−−
「ヤバイ…」
迎えに?むしろ迎えに来ていた俺は急いで返事をする。
From:刹那
Sub:Re・Re
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もう、家に帰る。
迎えは大丈夫だ。
買い物を頼む。
−−−−END−−−−
短く打ち終わった俺は、急いで家へと走った。
「姉さんが…買い物をしているうちに、帰らないと」
そして…この後、姉が彼氏を連れてきた本郷家では大波乱が待っていた。
―――――6話へ