*『僕の兄を紹介します』*
ある日のこと
美術大学に通う俺は作品に行き詰まり一人自宅で悩んでいた。
「この人物の顔…パッとしネェー…誰かいいモデルいねぇーかな」
つぶやくも二人暮しの部屋に人影は無く、今は傍らも学校に言っているため返事は返ってこない。
「クソ…っ…」
筆を投げ捨てたときだった。
―――ちゃらちゃらっっw♪
俺の携帯が鳴り響いた。
「もしもーし。」
気だるそうに対応した俺に返ってきたのは高校の時の友達で
「ぁ。ハレルヤ?です」
「あぁ…どうした?」
久しぶりといったわけでもない俺たちは流れるように会話をする。
「あのね、今日アレルヤが学校に教科書忘れちゃってて、届けようと思うんだけどうちにいる?」
「あー?教科書?…が忘れたんじゃなくてか?」
高校時代から能天気な…それを思って笑いながらそう言ってやる。
しかし…
「酷い…!もういい…電話切る。」
なんていい出す…ちょと罪悪感。
「悪かった。冗談だよ」
でも、これもいつものことだから
「知ってる」
なんて軽くあしらってくれる。
「ははっ…。いいぜ、教科書届けろよ、家にいるから。」
本当はアレルヤは帰ってねーけど、どうせ俺がいるから大丈夫だろう…と思い返事をする。
まったくそそっかしいな…なんて今はいない同居人の双子の弟を思い浮かべながら
すると…
「ほんと?ありがとうwじゃぁ、もう少ししたら行くね。」
それだけ告げるとは電話を切った。
「相変わらずマイペースだな、は」
苦笑しつつ携帯をソファーに投げると俺は再度
作品のキャンパスに目を向けた。
「にモデル頼むか……」
なんて考えていたときだ
―――ピーンポーーーーーーン。
玄関のチャイムの音。
「早っ!!?」
いやいや…少しって早くないか?
半分心の中で突っ込みながら俺は玄関の扉を開けた。
「あいはーい…ってかお前、ちょっとっては早す………っ!?…・・・。」
そこには思っていた人物はおらず、面影は似ているが別人が立っていた。
一見、大人っぽくも見えるが、よく見ると少女の面影がありまだ17・18だろうと思われる。
しかし、俺は
「ちょっと来て!」
気づけば強引に手を引き部屋に招き入れていた。
「あのっ?」
「そこ座って」
連れて来たのはキャンパスのある作業部屋で、そこの椅子に彼女を座らせた。
「やっぱり!オメェいいじゃねぇーか!ドンピシャだ!」
そう、ずっといきづまっていた作品のモデルにぴったりの女性…
「俺の特別だ!」
それから俺は黙って黙々と作品を書いていた。
数時間後―――
「あの…そろそろ帰っていいですか?」
と、少し控えめな声が聞こえハッとする。
「あぁ…わりぃ…長居させちまって。
「いぇ…」
少女の一言の後またしばしの沈黙
それを俺の言葉が破る。
「それより…今更この質問もおかしいが、オメェ誰だ?」
「ぁ…そうそう、すいません!私、姉の頼みでアレルヤさんの教科書届けに来たんですけど…」
控えめに言う少女に
「あぁ!の!悪かったなそれは…預かっとくぜ」
そう言って手を差し伸べた。
「俺はハレルヤ、アレルヤの兄貴だ。」
「私は、です!」
そう言って微笑むに一瞬、ドキっと胸がなる。
さっきもそうだった…こいつをはじめてみた時…
「そう言えば、ハレルヤさんは絵が好きなんですか?」
「あぁ…好きだ。美大に行ってる。…てかハレルヤでいい。」
そう告げた俺にまたは微笑んだ。
何だろうこの感じ…
そう思った時には
心より先にからだが動いていて…
俺は幸子の手を引いて
「なぁ?俺のモデルになってクンネェ?」
そう告げていた。
これから始まる大波乱を前に…俺の胸は
高鳴っていた。
「ちなみに、俺のモデルは特別な奴にしかやらせないんだぜ?」
そう…俺の惚れた奴にしか。
@@@おまけ@@@
電話の前のとのやりとり
「?なんかアレルヤが教科書忘れたみたいなの…だから届けてくるね」
「ええ!マジ?それ私が行く!絶対いく!」
「…え?どうしたの?急に」
「べ・・・別に。」
「まぁ…行ってくれるなら助かるけど…」
「でしょ?地図書いて!今すぐ、40秒で!」
「……いじめ?!」
―――40秒後
「行ってきます!!!」
「…おねが…ぃ…ってもういない。」
「ぁ…一応家に居そうなハレルヤに電話しとこう!」
そして…ハレルヤはに一目で恋をする。
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