世界はこんなにも広いのに
君はずっと殻に閉じこもる。
****「殻」****
朝からずっと整備ばっかしていて
ろくにご飯も食べていないことを気づいた私は
イアンさんに一言告げて食堂に向かう。
扉を開けるとそこにはピンクのカーディガンを見にまとい
悠々と紅茶をすするティエリアの姿があった。
「ぁ……ティエリアだ。」
「………か」
顔を上げることなくそうつぶやくのは何時ものことで。
「いつも会うね。なんか運命感じちゃう(笑」
「……フン。」
「冷たい…」
冗談で言った言葉にもこの調子で返す。
これも何時ものこと。
「他のみんなは?」
「僕が知ってるとでも?」
「ですよね…。」
やっぱりそっけない彼。
どうして何時も一人で殻に閉じこもるの?
「みんなとおしゃべりしたりしないの?」
「何を…話すことがある。」
「……恋の話とか?」
「……///。」
ぁ…赤くなった。
可愛い。
いつも一人のティエリア。
私はもっとあなたのこと知りたいのに…
「ねぇ?私・・・もっとあなたのこと知りたい。
教えて?」
だから…私から前に踏み出す。
あなたのこと気になるから。
「………」
いつもなら、そっけない返事が返ってくるのに
何故か無言のティエリア。
「………駄目かな?やっぱり迷惑だっ…!!」
寂しそうに言葉をつなげる私に
急に彼の手が伸びてきてそっと頬に触れる。
その手によって真っ直ぐに導かれた私の視線は
嬉しそうに微笑む彼の顔。
「………ちょうど、僕ものことを知りたいと思っていた。」
そう言って目を細めるティエリアが珍しすぎて…
いや…あまりにも綺麗いすぎて…
一瞬で心を奪われた。
彼の殻を破るつもりが…
気づけば彼の世界に…引き込まれていた。