観覧車の一番高いところでキスをすると
二人は永遠に結ばれる――――――――
****『観覧車』****
謙也とは久しぶりの部活OFFを利用して
デートに出てきた。
マネージャーとレギュラー
ここのところ練習試合ばっかりで、平日だけでなく
休日も削られる日々を送っていた。
「謙也ぁ〜〜〜?ジェットコースター行こやぁ〜!!」
「ぇ?なっ…何ゆうてんねん!は女の子やろ?
可愛くメリーゴーランド乗りや!ほらあそこにあんで?」
「何やの?!男女差別?せやったら謙也も男らしゅう絶叫しいや!」
「……ぃやゃ。」
「………ちっちゃい男やなぁ〜」
せっかくの休みで来た遊園地だったが、男女の趣味が正反対で
守ってくれるはずの謙也は絶叫マシンにおびえる始末だ。
「あかん…うちの方が男らしいわ。」
「なっ!そんなこと言わせへんで?」
「へぇ〜せやったら、あたしに何してくれたん?」
「それは…」
男の癖に…とは言わないが、よりもかっこよく
できたためしが思いつかない謙也。
「あっ…あれや!観覧車行こう!!」
「…ぇっ?」
ばつの悪くなった謙也が提案した言葉にの顔が引きつる。
「なんや?もしかして…二人っきりが恥ずかしいとか?」
「なっ…何言うてんの?いまさらそんなこと…」
「せやったらかまヘンやろ?ほらっ」
そう言って謙也は半分無理やりを引っ張り観覧車に乗せた。
「わぁ〜〜ええ眺めやぁ〜!!この観覧車、大きいって有名やねんで?」
「…そっ…そうなんやぁ……」
そしてしばしの沈黙。
「なぁ?もしかして……高所恐怖症?」
先に口を開いたのは謙也だった。
「せやったらごめん」
あやまった謙也だったがの返答がないのにあせる。
「?」
もう一度声をかける。
そしてそっと覗き込んだの顔には
一筋の涙が伝っていた。
「謙也…ぁ…怖い…ょ。」
謙也は自分のしたことに後悔してをぎゅっと抱きしめた。
「ごめん。俺やって男やってとこ分かってもらおうおもて、必死になってた。」
「謙也…ごめん。私も…言いすぎた。」
そう言って涙でにじんだ顔を上げる
「ええよ目ーつぶってて」
そしてぎゅっと手を握る。
その瞬間
――――ちゅっ。
暖かくてやわらかいものがの唇にあたる。
「んっ…ぁっ」
そして、だんだん深く長いものになっていく。
「ぁっ…・・・ん」
やっと離れた唇は名残惜しそうに潤いを増す。
「好きや。愛してる。今だけは俺の胸の中でおびえて。俺を頼ってくれ。」
「謙也…ぅちも大好きだよ。」
そして二人は強く抱き合った。
観覧車の一番高いところでキスをすると、その二人は幸せになれる。
それが長ければ長いほど…幸せに。