忍び音 第壱章「必然の中の偶然」


ここは深い深い森の中、もう何千年も人か立ち入らない山奥

私たちはそこで、日々普通の人となんら変わりのない生活を送る

ただ一点を除いては…………



、もう今日の訓練は終ったの?」

「はい、母上様!だから今日は午後から町に行ってまいります!」


そう一点とは忍びとしての修行。

今日はその修行が早く終わり初めて町に出かけるチャンスを得た。
もう、一週間前に成人の儀式は済ませた。誰も文句は言わない。


「何を言ってるの、あなたのような未熟者が私も付いて行きます」

「母上、私はもう一人前の忍びです。町にくらい一人で大丈夫です!」

それでも母は子ども扱い。




何とか押し切って町に着いたのは日の光が真上から少し傾いて差し込む時間。



「わぁ〜〜〜!!なんかすっごく賑やかぁ〜〜!!」

初めて見るものばかりの私は思い切り田舎者だった!
てか、田舎者よりひどいだろう…なんたって生まれて今まで森の中だったから。


ふらふらと町をうろつき買い物をする。
私だって花の女の子何時も忍び装束を着ているわけじゃない。
この日のためにと少しずつためたお金で簪を買った。


「かっわぁぃぃ。お兄さんこれちょーだい」

「おっ!お兄さんだなんてお嬢ちゃん嬉しい子と言ってくれるねぇ〜。
 よし!おまけだwこの鈴もプレゼントv」

「キャッホォォーーぃ!ありがとうww」


まさかの出来事に嬉しくて思わず踊りそうになった。
うちの忍びの村にはこんな嬉しいおまけはありえない。
せいぜい修行時間を追加してくれるくらいのおまけくらいだ。
(むしろいらない……………。


ドンッ―――――――


「きゃっ!!」

嬉しすぎてはしゃいでたせいで人にぶつかってしまった。

「ごっ…ごめんなさい。」

「んだっ…?てめぇ〜人にぶつかってそんだけか?ぁあ!」

しかもたち悪そう………

「す…すみませんっ…」

「はぁあ?誤り方変えたって意味ねえょ!
 って…ぁ?お前よく見れば可愛い顔してじゃん」


一瞬嫌な予感が頭をよぎる。


「来いよ。その代償、体で払えょ」


うわ最悪。なんか言ってる。

逃げようか、それとも打ちのめすか…
いや…打ちのめすのは駄目だ、忍びってことばれちゃ駄目だから。
やっぱり逃げるかっ!


「やっ……痛い!」


そうこう考えているうちに相手に腕をつかまれた。
どうしよう…こんな風な時はどうしたら…。




「その辺にしといたらどうじゃ」

「んだぁ?てぇめ……っうわぁ!!」

気づくと腕の痛みは消えさっきまで居た男が地面に伏していた。

「命が惜しいなら二度と俺の前に現れるんじゃなか」

「………くそっ!!覚えてろ!」

そお言われ男はそそくさと逃げてった。
もう誰もそんな捨て台詞使わないんじゃ……。



「お前、怪我はなか?」

「あっ…はい。ありがとうございました。」

助けてくれた人がのほうを向き手を差し出す。


わぁ〜真っ白で綺麗な髪……。
その者の容姿は美しく綺麗な目をしていた。

「いいってことよ。じゃけんどお前さん、町は初めてって
 感じのはしゃぎっぷりじゃったな。」

「えっ!ぁっはい!…見てたんですか?」

「ぁあ、一部始終な。面白かったぞ。」

「ぁわゎぁぁぁぁ///////」


「ところでお前さん、名前は?」

「あっ!私は、です!」

「ほぉ〜ぃぃ名前じゃ。俺は雅治。」

「雅治様?よろしくお願いします!」

「おぃおぃ、様はいらんよ」

「ぃぃえ!雅治様は私の恩人ですから^^!」

「そうか…じゃったら何も言わんよ。
 それより、町を案内してやろう。」

「本当ですか!!嬉しいです!是非!!」

「ぉう!そんじゃ行くかの」








こうして二人は出会った。


  そして二人の物語の幕が開く――――