日和見

「九州大会でもし優勝したら…話したいことがある。」

幼馴染の木手永四郎からそお言われた。
私たちは、付き合ってはいないけど、なぜかことあるごとに一緒にいる。
そばにいて当たり前の存在になっていた。

最近、自分が永四郎が好きなんだって気づいた

「ぇ?それって告白でもされるんじゃない?大体、あれだけ仲良く一緒にいて付き合ってないほうがおかしいよ。」
「だって…幼馴染ってそぉ言うもんでしょ?」

帰り道、友達に相談したら、こんなことを言われた。
ほんとにそぅだったらいいのに。でも、現実は違った。
最近の永四郎はなんだか冷たくて、常に「忙しいから、また。」って言ってばっか。
きっと、幼馴染である私の存在が邪魔になったんだろう。

「じゃあ…ここで、また明日!」
「ぁ・・・うん!ばいばい^^」

友達と別れてふと町を歩いているとかわいい女の子の声が聞こえてきた。

「これは?永四郎君!かわいいーょ!」
「ぇぇ・・・かわいいですね」

私の目に飛び込んできたのは永四郎と楽しそうにデートをする女の子の姿だった。
好きだって気づくのが遅かったのかもしれない

「やっぱり…もう、だめなのかな…。」

そのときの私はきっと泣きそうな顔だっただろう。



九州大会決勝戦当日。
空は雲ひとつなく澄んでいた。

「日にち・・・・・延びればよかったのに。」

重い腰を上げて準備をする。今日、永四郎になにを言われるだろう。
ネガティブなことばかりが頭をめぐる。

会場に着くと人だかりでいっぱいだった。
その中に先日、永四郎と一緒に歩いていた女の子を見つけ少し鼓動が早くなる。

試合が始まって進んでいくごとに私の鼓動は早くなる。

「やっぱ・・・ないちゃうかも。」


比嘉中優勝――――――――――。
その言葉が胸に響く。私はすぐに彼の元に駆けつけることができなかった。
今までだったら・・・できただろう。

っ!」

振り返ると彼がいた。嬉しそうにこちらへかけてくる。
高鳴りすぎて零れ落ちそうな心臓を一生懸命押さえて声をかけた。

「優勝おめでとう。」
「あぁ・・・ありがとう」


・・・大事な話のことなんだけど」

ほら・・・きた。笑って返事できるかな?


「俺と付き合ってくれないか?」


「・・・・・・・・・・・・っへ?」

「駄目ですか?・・・仕方ない・・・ゴーャ持ってきましょう。」
「いや・・・ちょっとまって!永四郎!!ゴーャは嫌!」
「じゃあ・・・付き合ってくれますね?」
「・・・・・ぅん。」
「ありがとう。」
「ゴーャなんてなくても・・・私は永四郎が・・・すきだょ。」

そぉ言ったとたん力が抜けてへなっと地面に座り込む。

「だっ・・・大丈夫ですか?。そこまで、ゴーャ嫌でしたか?」
「違うの・・・私、永四郎に一緒に居れないって言われると思って」
「・・・?なぜそんなこと・・・?」
「だって、最近の永四郎ずっと冷たかったし…女の人とデートしてたし!」

永四郎がため息をつく。

「冷たく?大会前はいつもかまってあげれないでしょ・・・って見てたんですね・・・。じゃあ・・隠す必要はないでしょう。」

そぉ言うと永四郎がかわいい小箱を私の手に乗せた。

「何これ?」
「・・・・何って、あなたへのプレゼントですよ」
「え・・・?じゃあこれを選んでもらうために・・・」
「そうです・・・。まったく、いらないところだけ見ているんですから。ゴーャだべさせますよ?」
「ごめんなさい・・・。開けてもいい?」
「ええ」

そこには、小さなハートのついたブレスレットが入っていた。

「いつか、リングを買ってありますょ。」
「ありがとう・・・永四郎」

きっと・・・いつか・・・