彼の触れた唇はとても優しく
甘い味がした。
****第参章『光へ』****
お見合いから何日か経ったある日。
彼からの連絡はなく、また、私は闇の中で静かに過ごしていた。
「武長…くん。」
ふと、彼の名前を呼んでみるもただ、暗い部屋に飲まれていくだけだった。
「?入りますよ」
その時、母の声がして部屋の戸が開く。
「何?母…。」
「お見舞いに来てくださいましたよ」
そう言って現れたのは先ほど名前を読んだ彼。
「こんにちは。」
「武長…君。」
そっと、隣に腰掛ける武長を静かに見上げる。
母はいつの間にかいなくなっていた。
「行き成り…どうしたの?」
「んー…会いたくなって。じゃ…駄目?」
武長らしからぬ言葉に嬉しそうに頬を染める。
「嬉しいょ^^とても」
「そっか…なら良かった。」
そうして、少しの間、たわいもない時間を過ごす。
「あっ…そろそろ診察の時間が…」
気付けば、二時間近く、話し込んでいた二人だが
二人には短く感じた。
「ごめん…俺つい調子に乗って…」
「ぅんん…楽しかった。」
そう言うに笑顔で返す武長。
「だから…また…会いたい。」
そして、恥ずかしそうに付け足すを武長は可愛いと思うのであった。
「あぁ…絶対また来るから…」
そう言って、にキスをスル。
だけどそれは頬に触れるだけのキス。
でも、はすごく嬉しいのだった。
「じゃあ…また」
「はい^−^」
そう言って武長を見送るはどこか切なげで
の部屋を後にする武長はどこか悲しそうだった。
「俺…ヤバイなぁ〜。本気でほれちゃったかな。」
そう、呟くのであった。
しかし。
運命とは残酷で
「え?嘘・・・だよね?」
「いえ…大変申し上げにくいのですが、
貴方の残された時間は…もうわずかでしょう…。」
二人に気持ちはお互いに向いていた。
なのに…どんどん…離れていく。