どんなに思ったって



     君はもう・・・・・・・・。




*****「ハナシノブ4」*****


あの偶然の再会から一週間。



考えることはのことばかりで…







「ボス?今夜でだぜ?」


「あぁ…大丈夫だロマーリオ。」




心ここにならずな毎日を過ごしていた俺を気遣い

部下の一人が声をかける。





気づけばもう、食事会という名のお見合いの日。










書類を片付けた俺は足早に自室に向かって正装をする。







なん時も頭から離れない彼女の事



向こうが…断ることは…まずない。


俺だって馬鹿ではない。


政略結婚だ…娘をかたにファミリーの将来を約束する。そんなところだろう。












ばかげている。









鏡に向かって毒を吐いた俺だが…自分に言っているようで…


その言葉が重くのしかかった。




「やっぱり…断ろう」




本当は許されない。


分かっている。






だけど…好きでもない相手と結婚なんて考えたくない。




「たとえ・・・。お前が俺との約束を忘れても」










「俺はお前を…」









決意を決めた俺は屋敷を後にした。





















――――――――――−ー―−ー−


※主人公視点



会場となるホテル…そう言えばこの辺ってディーノの家の近くだっけ?




案内された部屋で、静かに待っていた私


心の中ではしっかりと気持ちは決まっていた。






先日泣きながら帰宅した私を父は優しく迎えてくれた。




理由を知ってかしらずか

…お前は家のことは気にしなくても…自由に生きなさい。」


そう一言言って私を抱きしめてくれた。





その行為にとても勇気付けられた。



だから


一週間悩んで…決めた答え








「お父さん…ごめんなさい。」




その声は


部屋の中に消えていった。

















数分後



















コンコン…ノックと共に相手先の両親が入ってきた。















「あら?先にいらしてたんですか?お待たせしちゃって…」




「気になさらないでください。」





トクン…トクン・・・・


心臓の張り裂けそうな音。




「大変申し訳ないんだけど…あの子がまだ来てなくて…」






きちんと言わないと









「あの…私…





この話、お断りしようと思いまして!」










言い切ったとき私の中の重荷が一瞬で無くなった気がした。





「なんですって?」



驚いた表情の先方……


しかし静かに向こうの父親が言葉を続ける。



「君は…誰か好きな方でもいるのかね?」




「はい」




気づけば場の空気など読まずに


ハッきりと返事をしていた。



「私は、ディーノが好きなんです!


 彼じゃないと…、だから、彼を待ちます!


 報われない恋でも・・・・・。」




自分でも驚くほどしっかりとした声で告げた私は会場を後にした。















※ディーノ視点




ホテルに着いた俺は

ゆっくりと深呼吸をして案内された部屋の扉を開ける。





「遅れて申し訳ありません。」





俺に視線が集まる。








「あと…もうひとつ。


 申し訳ありませんが…この縁談お断りさせていたたきます!」















言ってやった。




そう思ったのもつかの間。






「ディーノ…あなたまで…」









「は?」






帰ってきたのは思いもよらない言葉で…


「俺も?ってことは」



「そうよ、先ほど、相手のお嬢さんはあなたとの縁談をお断りして…」



そこまで聞いて


ほっとした。



なんだ、相手も思い人がいるんじゃねーか。








「ディーノ…相手のお嬢さんは、お前のことが好きで、

 お前との縁談…断ったんじゃぞ?」





「ん?どういう…」



「昔から仲良かっただろ?だからと思ってこの縁談を持ち掛けたんだが?」



「だから…どういう」


俺は親父の言ってることが理解できなかった。





俺のことが好きで



俺との縁談を断った?





誰が…




「行き違いが…あったみたいだな。お互い名前を言ってなかったからな。」




「親父…俺の相手って…」



さんじゃよ。昔よく一緒に遊んだだろ?」









そこまで聞いてやっと理解できた俺の脳は




次の瞬間にはもうホテルを出てを探すと言う思考に変わっていた。