あの約束を
今もまだ…覚えています。
*****「ハナシノブ3」*****
見合いの日が近づいていたのに
一つも答えが出ない
いらいらばかりが募る…
そんな時
「?」
偶然見つけた。
クロスのペンダントを大事そうに旨につけ歩く少女。
神様は時に残酷。
そのときはそう思った。
今…合わせなくても
もっと早くあわせてくれたら。
「ディーノ?」
俺の言葉に顔を上げたが目をめいいっぱい開いて
俺の名前を呼ぶ。
「おう…久しぶりだな。」
「ぅん。」
「元気してたか?」
「ぅん。ディーノは?」
「元気だぜ。」
会話を交わしと俺の間に沈黙が流れる。
「とりあえず…どっか入るか?」
沈黙に耐え切れなくなった俺はカフェに
行こうとに声をかける。
カフェまでの道……
の動作がお互いの空いた時間の大きさを物語る。
女の子らしい仕草。伸びた身長。美しい体のライン。
正直・・・・・・・綺麗になった。
知らないうちに熱い視線を送っていた俺には
「そんなに見られると…恥ずかしいんでけど?//」
と照れながら優しく笑って言う。
その笑顔…
変わってない。
そう思った。
カフェについてからはお互いの知らなかった今までのことを話した。
開いていた時間を埋めるように。
この時間が幸せだった。
※ここからは視点です。
――――――――――――――――――――−
久しぶりに会ったディーノは何にも変わってなくて
時が止まっていたかのように思った。
けど、男らしく成長した彼を見て・・・・・・・惚れ直した。
また彼に恋をした。
「母が死んでから、父に引き取られたの。
今は父と二人暮しだよ。幸せに暮らしてる。」
マフィアのこと…彼には伝えなかった。
心のどこかで…シャットアウトしていた。
「そか…なら良かったぜ。ちょっと心配してたんだ。」
ちょっと…か
彼の言葉に…胸にチクッと痛みが走る。
私は……ずっと待ってた。
けど…彼は…もう、忘れたのだろうか?
「それ、持っててくれたんだな…」
そう言って彼の手が私のペンダントに触れる。
「ぅん。母が死んだとき…凄く辛かった。でも…
ディーノがくれたコレがお守りみたいで…元気クレタの。」
「そか…」
彼は…何かを考えるように黙り込む。
もしかして…私のこの気持ちは…重たかった?
考えてみれば…幼い日の約束。子供の時の話。
それに…ディーノはこんなにかっこよくなってるんだ。
恋人だって…いるだろう。
私って…ばかだ。
一人で舞い上がって…
「ディーノ…あのね。」
さっきまで彼が握っていたペンダントを握り締める。
「私…ずっと…ディーノのこと…待ってたんだよ?」
「・・・!!!」
「凄く…すきだった。でも」
「……?」
「ごめんね。私…もうすぐ結婚するの。」
その言葉を告げて
カフェを出る
「!!」
呼び止める声を振り払い
必死で走った。
涙なんて…見せたくないから。
待っていたのは…私だけたったんだね。
でも…これでよかったのかも。
私は…お父さんとファミリーを守らなきゃいけないから。
さよなら…ディーノ・・・・・
※ディーノ視点
の胸元のペンダントに目をやり問いかけた俺に
返ってきた言葉
「ぅん。母が死んだとき…凄く辛かった。でも…
ディーノがくれたコレがお守りみたいで…元気クレタの。」
「そか・・・」
嬉しすぎた返答に言葉をどう返せばと詰まった。
短い言葉でしかあらわせなかったが
内心俺は嬉しすぎて飛び上がりそうだった。
しかし…頭をよぎった見合いの話…。
俺は繭を潜めた。
その瞬間
「私…ずっと…ディーノのこと…待ってたんだよ?」
思いがけない言葉に息を呑んだ。
『俺だって!』
そう言ってやりたかった。
でもまたあのことを思い出し言葉に詰まる。
「凄く…すきだった。でも」
「……?」
「ごめんね。私…もうすぐ結婚するの。」
なんだって?
ハッとの顔を見上げれば
目にためたあふれんばかりの涙が流れ落ちる。
「!!」
必死で呼びかけるも
は止まることなく立ち去った。
残された俺の頭の中では
最後の言葉がリピートされる。
あの涙の姿と一緒に
…
もっと早く迎えに言っていれば……。
もう…間に合わないのか?
―――――――――続く。