忍び音 第五章「刹那に心は鬼と化す」
どうし運命は残酷なんだろう―――――――
これで未来はあるのかな――――――――
翌日、は気分転換にと小さな花が咲く川辺に来ていた。
「わぁっ〜〜〜〜はぁ〜〜〜〜!!」
ずっと迷ってばっかだったし、久しぶりのシャバの空気は…って…!!
違う。
「いっぱい、考えたけどやっぱり…無理だょ…。」
考えた結果は―――――
――――――――――殺さない。
否、殺せないだけど。
私は心に決めたのだった。
これが一番後悔しないだろうと。
だから――――
「今日はゆっくりして、かえって婆様に報告っー―?」
そお思ったのに――――――
――――――がさっ。
「えっ?なっ…何奴?」
いきなり草むらから音がしたのでびっくりしたは
何かと思って警戒した。
「っ……」
「ぇっ?……ブ…ブン太?」
しかしそこに居たのは酷い怪我を負った幼馴染のブン太だった。
「ちょっと!?どうしたのっ!その傷!酷い…」
「わりぃ…へまっちまった。ちょっと紫苑葉隠れに…。」
その名を聞いたとたん心が凍る様だった。
は一瞬で悟った。
「私が、殺さない…殺せないと分かったから……?」
「……?」
「私が、任務遂行を諦めたから。だからブン太が変わりにっ!!」
ブン太からの返事は無かった。
でも、無言の返事はイコールその通り。
「ごめんね。ブン太…私が………」
「は悪くねぇょ。ただ俺が…。」
ブン太は言葉を切った。そして今、村が、
私たちの椿葉隠れの忍びの里がどれだけ危険かを教えてくれた。
「ごめん…ブン太。私何も知らなくて…能天気に止めれば良いやって…。」
「ぃぃんだ。今危険な時だからって、お前が悲しむことは嫌なんだ。」
「……ブン…太…?」
「俺はお前が好きだから。お前が悩むなら俺がと思って……」
「……ブン太。御免ね…それと、ありがとう。」
「あぁ。」
突然のブン太の告白に驚いたけど、よく考えてみれば
いつもそばに居てくれたブン太。
辛い修行の時も、楽しい時も。
一緒に笑った。一緒に泣いた。たまに喧嘩もした。
そお考えると―――――――
―――――そんなブン太に傷を負わせたあの人が憎くなる。
刹那―――――――の心は鬼とかす。
しかし、多少の迷いはあった。
なれど、昨夜の婆様の言葉通り、は時期上に立つもの
そお思う心が背中を押した。
ごめんなさい―――――雅治様。
心の中でそお叫ぶのであった。
次の日……………曙………
彼女の姿はすでに紫苑葉隠れの里に向かっていた。