なぜ人は断ち切れないのだろう


   争いの連鎖を


    憎しみからは何も生まれないのに。






***「不の連鎖」***





夕焼け空の下

一人黒曜からの帰り道


一人の青年に目が行く。


ボンゴレ十代目…そう思った僕は

そっと影から近づく・・・


すると隣に見知った顔があった


懐かしい…それでいて…いとおしい…









「綱、じゃあまた明日」


「うん!また明日ね」


そう言って別れを告げたの前にそっと

進み出る。




…」



驚くような顔を一瞬見せるも

すぐに笑顔を向ける

なぜ?君がここにいるのです?


どうして…ファミリーなんかに……


憎んでも憎み切れないというのに。





そう心の中でつぶやく六道骸の目の前には


幼いころ…一番辛い時期をともに過ごしたの姿ではなく


美しく成長したの姿があった。





「骸さん…お久しぶりです。」


…なぜ君がボンゴレ10代目と一緒にいるのです?」



動揺を隠し切れない様子で僕が尋ねると


は透き通る声でハッきりと答える。





「私が望んだから。」


「望んだ?」


「ぇえ……。」


短く返事をしただったが、僕の目を見て、

今僕が一番尋ねたいことを察したのか答えを返す。



「私は…骸さんと同じ様にマフィアなんて大嫌いです。

 でも、綱は違う。あんな非道なマフィアとは違うから。」



「から?何だと言うのです?彼がどの様な男か僕は知りません。

 でも、信用できるのですか?また、同じ様に利用されるかもしれないんですよ?」


強く言い返した僕には悲しそうな瞳で僕を見る。



「心配してくれるの?骸さん?」


「当たり前です。」


「優しいですね…。」

「そんな…事」


そう言っての手をとり抱き寄せる。



「そんなこと…貴方にしかしません。

 誰にでも優しくなんかしません。」





「骸さん…」



その先は途切れ…そっと沈黙が続く。


まるで、空いていた隙間を埋めるがごとく。












「骸さんは今でもマフィアを恨んでる?」





続いていた沈黙を破ったのはだった。


「もちろん。なぜそんな事を聞くんです?」




「……。」



「貴方はもう…恨んでないと?」


「違うよ…でも…信じて見ようかと…」


「信じる?」



の言葉が理解できない私はそっと顔をに向ける。




「うん…ずっと…ずっと恨んでいても何も解決しないと思うの。」


「……」


僕は静かにの言葉を聴く。


「憎しみからは…何も生まれない…分かってください…骸さん」



そう言って真っ直ぐに僕を見つめ返す



「私…骸さんが好きです。」


「なッ…////」



急なことと…先を越された驚きに言葉に詰まった僕のほほに手を当てる





「だから…もう、憎みつつけるのは…繰り返す不の連鎖は無くしてほしい。

 骸さんには幸せに生きてほしい。」



その言葉を言われて…僕の心のどこかで…凍っていた心が溶かされる気がした。



「ありがとう」


そう言って重ねた唇に流れ込んだのは

の涙で…


その暖かい涙がすべての罪を洗い流してくれるような気がした。





でも…


だからこそ…






の気持ちは嬉しいよ…

 だけど…僕の幸せは復讐にあるから…」



それだけを告げて彼女の元を離れる。



そして振り返ることなく歩き出した。






僕も君を愛している。




でも…だからこそ……



君の分まで憎しみを背負って…成し遂げよう。





待っていてくれるかい?



その優しい笑顔で…いつまでも…



…。