雨が降る日は
_____貴方に会える。
「雨」
外は雨が降り注ぎ、人々は雨宿りにと
「お気に入り」を見つけて店に入っていく。
そう。ここは春を売る人が集まる「遊郭」
私はまだ見習いの付き人として修行中だけど
いつかきっと誰かに春を売るのだろう。
「…今日はもうええょ。そろそろさがって」
由美さんは優しくて、何も知らない私にいろんなことを教えてくれた。
「はい。…でも、お客さんが…。」
「ええんょ。この人は二人っきりのほうがええらしいけん」
そう言って由美さんは包帯のお客さんと部屋に入っていく。
言われたとうり片づけを済ませ、やすみの準備をしていると
外で、誰かがいる気配がした。
「誰・・・?」
縁側にでて外を見ると、さきほど由美さんが入っていった部屋の近くに
一人の少年がたっていた。
「あの・・・雨にぬれますょ?」
そう言ってかさを差し出した。
「……ありがとうございます。」
彼は優しく微笑んで礼を言った。
「誰かまってるの?」
「はい。あの部屋で…」
そこまで言いかけてあの人の連れだと分かった私は部屋に招きいれた。
「そうですか…見習い中で。どうりで、表では見ないと。」
体を拭きながらそお言う彼に
少し寂しげな表情で答える。
「はい。……でも、もうすぐ…」
そこまで言いかけて言葉に詰まる。
「もうすぐ…?」
「いえ…もうすぐ…表で見れるようになりますよ」
そお言うと彼がふと顔を上げた
「…じゃあ…もし、雨がふったら。僕が貴方を迎えに来ます。」
「そんな…嘘ばっかり。」
「嘘?」
「そうです。あって間もないのに…」
「そんな事ないです…僕は・っ・・・「おい!宗次朗!!行くそっ!」
彼の言葉は包帯のお客さんの声がして途絶えた。
「すみません。じゃあ僕いきますね。」
「はい。」
「また、雨の日に。」
「えぇ…」
そう答えたものの。
心の中では「雨なんて…」と思っていた。
一週間雨は一度も振らないまま
の初めての日が来てしまった。
「準備はできた?」
「はい。由美さん。…今までありがとうございました。」
そう言って深々と頭を下げる私に「いややゎぁ〜寂しいやろ。」と手を握ってくれる。
赤い策の向こうから綺麗な星空が見える。
「雨なんて…降るはずが無い…」
ひとりで呟いても寂しくなるだけだった。
「…ご氏名だよ。頑張ってらっしゃい。」
女将さんから呼ばれ体がびくつく。
「はい・・・・・。」
返事はしたものの体から力が抜けなかなか立てなかった。
やっとの思いで立ち上がった私わ
女将に誘導されるがまま部屋に向かう。
女将に紹介され、戸が閉まる。
顔を上げなくてはいけないのに
体が震える。
「です…可愛がってくだ…っ…」
途中で言葉に詰まる。
不意に思い出したのはあの人の顔で。
思い出せば出すほど、涙があふれる。
雨なんか降ってないのに。
お客さんに見えるくらいに涙で畳をぬらす。
だめだ…逃げたい。
だけど………そんな事できない。
「やっぱり…雨…降っちゃいましたね。」
――――――――――えっ?
勢いよく顔を上げるとそこにはずっと思い浮かべてた笑顔があった。
「……嘘っ……」
「酷いなぁ〜僕だった約束は守ります。」
「でも!雨なんて・・・!」
の言葉が終る前に彼は立ち上がっての顔にそっと手をかける。
「降ってます。涙がいっぱい。雨のようにね・・・」
更にあふれる涙を抑えきれず。
彼の胸に顔をうずめた。
「さん…大好きです。」
「なんで…名前…」
「僕は前から貴方のこと見てました。」
「この前言いかけたことって…」
「そうです。言ったでしょ……表では見かけないはずだと^^」
「あっ……」
気付いたように声を出すとニッコリ笑ってまたを抱きしめる。
「僕は瀬田宗次朗…僕と一緒に来ませんか?」
「はい。喜んで…宗次朗様。」
その後、二人で戻ったアジトには
由美さんと志々雄さんが一緒に出迎えてくれた。