全ての始まりは
  


       愛であって
    


           きっと全ての終わりも愛だろう






SCRATCH NO・XVI 「LOVE 」







蔵ノ介が病院に着き、病室に走りこんだときには

一氏の姿はなく、静かに眠りについた彼女がいた。



?!!」



呼んでも返事はない。






?嘘やろ?」





近づいて体を揺さぶる…しかし、反応はない。




…俺、まだお前に言ってへんことあってん」



そう言いながらの手をとり、ゆっくりと握る


「俺は、ずっと前から…いや…出会ったあの時から…どこかお前に惹かれてた。」



静かな病室に声は繁茂する。


「だから、にはずっとそばにおって欲しかった…

 いや…おってくれると思ってた。」



一言一言を話す蔵ノ介の目には涙が浮かぶ。



「 だから、無理に俺の気持ちぶつけて、拒絶されるより

  今の楽しい生活のままでおりたかった。

  せやけど、とっくに、は愛を知って求めてた。

  相手は一氏なんか?…それやってもええ。」






「でも、ひとつだけ。」








そう言って立ち上がった蔵ノ介は眠る唇にキスをおとした。




「俺はが好きや。…いや愛してる。

 籍入れてほんまのほんまの家族になりたい。そう思ってる。

 それだけは言いたかった。」






「ごめんな…早よ言えば良かったな。」



そう言ってその場でそっとひざまずき顔を伏せる。
























「ありがとう…………蔵ノ介」














突然聞こえたの声に、ハッ!!となって顔を上げる。




「私、ユウジに好きょ…って言われた。だけど、好きって分からなくって

でも、そんな時どうしてか、いつも蔵が頭に浮かぶの。」



……」



「でね、コレが好きなんだなぁ〜って…」



っっっ!!



の言葉を聞き、が起き上がったと同時に抱きしめる。




「蔵ノ介…?」





「俺…お前が好きや!!もうはなさへん!!」



「ありがとう。私も…」


も、同じように抱きしめられた手を抱きしめ返す。


  

「私、不安だった。蔵ノ介が私のこと要らなくなったら…

 嫌いだったら…って」


「そんなこと!あるわけないやろ?」


「ぅん…でも…母の話を聞いた時、すごく不安になった。」


「ごめん。アレは…もっと時を考えて…」


「いいんだ…むしろ、大切なことに気付いたから」



「ぁあ……せやな」




そう言って再度お互いの顔を見合わせる。




二人の距離はいっそう近くなる。



そして、長く深いキスは


二人の気持ちを、言葉なくして確かめ合うのであった。





「なぁ?…」


「ん?」


「俺が、高校出たら、結婚してくれへん?」


「結婚?」


「あぁ…ほんまの家族になんねん」


「家族………ぅん!!なりたい。」


「ほか^^よかったww」

 




二人は、その後、更に、ゆっくりとお互いの気持ちを確かめ合った。

















そして、先に駆けつけたユウジがの気持ちを聞き

二人の気持ちを気付かせ合うために、ただの栄養失調のの病態を

わざと悪く伝え、永遠の眠りについたように見せかけたことを聞いた。







「なんや!!ひどいわぁ〜↓↓……」


「わるい^^;せやけど、ここままじゃ振られた俺の気が晴れへんかってん!」


「……ほうか…せやけど、まぁ…おおきにな^^一氏」


「ありがと…ユウジ。」


「かまえへん。なんとなく分かってたことやし」


「一氏…」


「それに…が幸せならそれでぇえ^^」


「ほんと?」


「あぁほんまや」


「なら、幸せでいるから!」


「永遠になっ」




そう言って笑う三人の姿は、未来の希望と夢、そして輝きに溢れていた。